KanokoTakeuchi

Oil pastel art & Event

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10年ほど昔のこと

才能がある方は良いですね~

近頃よくそんなことを言われて恐縮しながら思い出すことがある。
10年ほど昔のこと
美大受験の費用のために夜のお仕事バイトをしていたときのこと
部下を引き連れて度々ご来店下さるとある大手保険会社の社長様が
自分は絵が好きなので
もしおまえに才能があるなら支援してやろう!と
試しにテーブルにあったコースターに虎を描いてみろとボールペンを渡されたのです。
店中が大注目の一大事で
フルフル緊張しまくりで描いた絵はまるで子供の描いたタイガーマスク…。
店中のどきどきワクワクの空気が一瞬でささーーっと冷えきり
お優しい部下の方々が「なかなか上手いじゃん~」
「流石だね」
なんてぽそっと言ってくれただけ
そのまま何事もなかったかのように他の話題がすぐに持ち出され
二度とそのコースターの話題に戻されることはなかったという…苦々しい思い出。
ボールペン画は苦手だし虎とか描いたことないんですもん~
当時の私は後からそんないいわけをして悔しがったりしたものだけど
才能がないと思い知らされたと言うよりも
例えお酒の席の冗談だったにせよせっかく私なんかの夢に賛同してくださったその場の人達の一瞬の期待に応えられなかった申し訳なさ悔しさにうちひしがれた出来事だったのです。
才能なんてないのなんかはじめから知っている。
それでも私の絵をみて下さる人たち楽しみにして下さる人達の期待に少しでもこたえていきたい。
あの日からただそれだけで描いてきた気がします。
今でも多分ボールペンとコースターをいきなり渡されて虎を描いてみろと言われると
相変わらず散々な結果になりそうですが
年を重ねたぶん
ボールペンの代わりに鉛筆と消しゴム下さいとか代わりにくま母ちゃん描いていいですか?なんて言える図太さ位は身に付いたかな?

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haruhi